salvage~防虫剤と時のオブジェ

先日譲っていただいたコレクションの中に、プラケースとおぼしき「塊(かたまり)」を発見。

プチプチに包まれたそれは、小さなプラケースに小分けにされた、そんなパッケージ標本に思えた。

しかし、プチプチをはがすと、

まあ、

なんていうことでしょう。

 

 

・・・サトウの切り餅??

 

なんですかね、コレ。

脳内フリーズ。

 

プチプチの跡が付くほど、柔らかそうに見えるのに、カチカチ!硬っ。

 

結果的に、この中には、インスタにあげたあのミクラミヤマがいたんですけど。

このような経験はまず無かったので、ここに備忘録として記録しておきたいと思います。

 

以下の写真は上のものとは別の。

ええ、

最初、アレだと思いましたよ。

 

あの、キーホルダーになってる奴。

アクリル樹脂封入ってやつですね。

でも、そんなはずはない!

 

そのようなモノ(←失礼、悪意はありません!)が、

譲り受けたコレクションに入っているはずがないw

 

じっくり見ると、やはり、いや当然、違うのが分かってきました。

プラスチックが無い部分を見ていただきたい。

「綿」が見えます。

 

そう、

確かに、

未展足標本のパッキングなのです。

 

どうしてこんなことに・・・。

ああ・・・なんてことを・・・

なにが、

いったいなにが、彼らの身に起きたのか。

 

かれらの、失われた時間に思いをはせる。

まるで宇宙の果てのSFホラー

どれだけの時の経過でこのレベルになるのだろう。

 

 

プラスチックの異変といえば、、、加水分解??

それにしては、べたつきはなく、カチカチ過ぎる。

 

カッターやニッパーを押しつけたところで、とても歯が立たないのだ。

再構築されて、なにか別の素材になったかのような、謎の堅牢さだ。

 

こんなケミカルな所行、

もう、アレの仕業としか考えられない。

 

防虫剤。

 

以前、記事書きましたが、

『ミセスロイド』を使うのは商品を贔屓しているわけでは無く、ミセスロイドの有効成分が、防虫する対象物に対して攻撃性が無いからです。

 

そう、攻撃性。

標本管理で良く使われる防虫剤に、エステーでいうところの『ネオパース』や『ネオパラエース』がありますが、それぞれ、
ナフタリン naphthalene/C10H8  
パラジクロロベンゼン paradichlorobenzene/C6H4Cl2

を主成分としています。

同様に、『樟脳』も防虫剤として有名だけど、それもけっこう攻撃性ありますよね。

これらは長期的にみて、あまりいいことは無いなあと個人的に感じています。

すごく昔の投稿にも書いていますが、人体に害となる成分を有しているからです。

あくまで参考ですが、ウィキのリンクを張っておきますね。

 

ようするに、これら攻撃性のある防虫剤によって、時間をかけてゆっくり浸食されていったのでしょう。

実際、タッパーにこれら防虫剤、けっこうばらまかれて入っていました・・・。

 

防虫的には「死角無し!」とはいえ、

小型のプラケースで虫食いなど無いようしっかり収納されていたものに限って、こんな状況になってしまうとは・・・、なんとも皮肉なものです。

 

さて、これらをどう料理してくれようw

 

こういう状況に冷静に対処できる、今の自分を褒めたい!笑

何事も経験ですね・・・。

 

時をさかのぼればいい!

つまり、溶けて固まったのだから、また溶かせばいい。

ただそれだけだ。

 

用意するのは、アセトンで十分だろう。

油抜きの要領で、漬け込めばいい。

 

上のかたまりをアセトンに浸けて、

1日おいたのが下の写真。

 

パーフェクトw

 

姿を現したのは、アマミミヤマ Lucanus ferriei Planet, 1898の♀でしたw

今では貴重な標本!

 

 

浸食された訳だから、浸食仕返せばいい作戦、

とりあえず成功。

 

溶剤や、酢酸エチルもそうだが、プラスチックに攻撃性のある溶剤を使用する場合は、

PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)を明確に区別することが重要。

PEは浸食されてゆがんだり、良くない。

とくに、蓋がPEのものは使わないようにしよう。けっこう蓋のみPEは多いので注意!

容器・蓋ともにPPのものを用いるのがベストと考えます。

 

アセトンで見えなくなっていた、綿より下には、

溶けきった水飴状のプラスチックが~ねっとり~。

アセトンが揮発すると、すぐ固まってくるので手入れはコツがいるんです。

虫の表面にもうっすらプラスチックが取り切れないでまとわりついているのだけど、筆でこすったり、ほどほど固まったところで木工用ボンドパックのように剥がしたり。

焦らず急ぐことで、無事除去できますね。

 

それに、標本自体の状態がきちんとしているならば、パーツがはずれるといった問題は皆無。まず大丈夫でしょう。

 

こんな感じで、

以上が一連のサルベージ作戦です。

 

万が一同じ事に遭遇したとき、皆様の参考になってもらえれば御の字ですね。

 

まあ、展足する前に、こんな手間のかかる作業をしていたら、とてもじゃないけれど時間がかかって仕方が無い。

まだまだ、そんな救出待ちの塊があるのだけど・・・

気が向いたらサクッと手を付けようと思う。

 

 

Author: jinlabo

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