ビークワに用いたもので手元に無かった種として複数あるのですが、この(Eo)lucanus prometheusもそのひとつ。
Lucanus prometheus Boucher et Huang, 1991
Boucher, S. &J. Huang,
Deux nouveaux Pseudolucanus esthimalayens. Comparaison morphologique avec les especes voisines (Col. Lucanidae), Bull. Soc. ent. Fr. 96(1): pp. 31- 39, 1991.
ご存じの通り自分は“ミヤマ専”とはいえ欧州系、フォーチュン系(ヒメミヤマ系)にとりわけ特化しているため・・・、Puseudo-系は別にしても、実のところこうしたEo-系は正直、手薄で。
この種に関しては、幸いにも、むし社のデータベースと奥田氏のご協力を得て図示(ビークワ75号、8ページ右上)に至った、というしだい。
感謝ですね。
まあ、生き虫界隈での評価はみなさまご周知のとおり。
実際に検して、ミャンマー中国東部に産するレスネやミンイらとはやはり異なるな~と率直に感じたところ。
体長のわり(ボディがしっかりしてるわり)に、頭が小さい。
前胸のアウトラインが斜めに直線的。
あと、
大顎が全体の2/1部分で屈曲しているように見えるのは、下側に発現する歯のラインが、気持ち、顎先までスラッと続くからなんですね。
ここはミンイと似ているけれども、実に大きく異なる点です。
ミンイは、屈曲部はもう少し緩やかに湾曲して、大顎先端部上側に小さくですが「矢じり状の歯」が発現する傾向にあります。
緩やかに湾曲して見えるのは、顎のアウトラインとともに、その「細さ」も要因ですね。
プロメテウスは、ぐりっとしていて、どちらかというとレスネっぽくあります。
36.8mm
ビークワ記載の最大体長を更新です。
下は、上とさほど変わらない体長35.6mmの個体だけれど、頭部の発達の違いで結構印象が変わります。
下の個体は、上の個体よりも頭が小さく、レスネのように緑がかった光沢をもった個体。
脚の色などが分類ポイントで言われますが、個体差があるように見えます。その観点での分類は正直どうだろう。
♀は、黒系で他種に比べてラインが「つるっと」した印象。
33.9mm
こちらも最大体長を更新です。
「プロメテウス」の名にふさわしく、チベットはニンティの3000m級のエリアに産する種。
レスネとか近縁の種の顎型を示しているが、♀の見た目を考えても、
同じくインド/ネパール/チベット西部の高山帯に産する「グラキリス」により近い種なのかもしれない。
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