ヴィクトリウスミヤマ sp. victorius *Top

Lucanus victorius Zilioli, 2002

ヴィクトリウス ミヤマクワガタ

M. Zilioli

Lucanus victorius n. sp., a new outstanding stag-beetle from Sichuan, China(Coleoptera, Lucanidae)”
in Atti Soc. it. Sci. nat. Museo civ. Stor. nat. Milano, 143/2002 Ⅱ, 209- 213, Dicembre 2002

2002年に記載されたsp. victorius. 

本人の承諾を得て、記載文に掲載されたホロタイプ画像をのせます。

名の由来

“victorius” は、著者の父親ヴィットーリオVittorio さんに由来する。

つまり、父の名をラテン読みにしたわけだ。

そしておそらく、同時に、本種の最大の特徴である頭盾~その大きく「V」字型に広がる形体~も関連づけられているのだろう。
そう容易に想像がつくほどに、特徴的な外観をした種だ。

 

まあ、「V」な日本モノが、けっこうあれこれ思い浮かぶのも事実。

アリナミンV、コンバトラーV、Vガンダム、ウルトラマンV…

日本人は、「V」が好きなようだ。

 

今年2018年、雲南に採る人が現れたと思われ、結構な数が流通した。

そのような状況からうかがえたことは、原記載、およびHuang(2010)の追加考察によれば最大で65㎜前後だが、70㎜に届くくらいが最大型かな、ということ。

大型になると、プラネットミヤマsp. planetiとか、タテイタ系に見えてくる。

なのに、頭冠はルニファー系lunifer-groupのカタチなので、なかなか違和感がある不思議な種だ。

 

もうこれ以上、頭盾系の新種は出ないだろうな~と思うが・・・、

自然はこんな予想をもするりと超えてゆくだろうか。

***********

記載以降では、Huang, 2010, pp. 139- 142が現状では、最新のまとめとなっている。

36. Lucanus victorius Zilioli

Huang氏は、原記載でのタイプローカリティが誤りだとして、141-142ページで「Correction to type locality」の項を設けて、訂正した。

原記載:[Sichuan, Daxue Shan, Yinjing]

⇒訂正:[Southwestern Yunnan, Yingjing]

つまり、【産地の誤記(スペル誤り)】があるという見立てからの訂正というわけだ。

筆者によれば、以下の二点が根拠となっている。

① 四川省のその場所 [Yinjing ⇒ Yingjing] で採集できなかった事実
② 雲南省のその場所 [Yingjing] で、協力者によって採集された事実

ただ、記載トップの採集地、つまりタイプローカリティのとこに、括弧でfake locality )と書くのは、故意に悪意があるようでどうも、いやらしい。

そもそも論文で、“fake”って語を使うのは、どうなのだろうか。

 

Zilioli氏はデータを出所から伝えられた通り、そのまま表記したにすぎない。

現地調査していない以上、恣意的な変更を加えずにそのまま記録するのが、研究者として正しい姿勢なわけで。

「悪意を持ってデータを改ざんした」ってわけではないのだから、なんかfakeという語はちょっと。

 

結局、Huang氏も訂正したYingjingという地で、自らの手では採っていないっぽいけど・・・笑

咎めるのではなく、あくまで訂正するのだから、wrongとかmistake 、後半で書いてるようにincorrectで誤りである事実を指摘するのみでいいよね、って個人的に思う。

また、原記載のホロタイプ記述に加えて小型個体の外形特徴を、6点、追記している。

Author: jinlabo

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください