奥田則雄・前田健
「インド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州で得られたミヤマクワガタ属の1新種」
『月刊むし』 No.569, July, 2018, pp. 45-47
http://mushi-sha.life.coocan.jp/gekkanmushi-new.htm
N. Okuda & T. Maeda
“A new species of the genus Lucanus Scopili (Coleoptera, Lucanidae) from Arnachal Pradesh, northeastern India”
Gekkan-Mushi, No.569, July, 2018, pp.45-47
◆Lucanus rondoi sp. nov. ロンドミヤマ
3♂1♀が図示された。
メアレーLucanus mearesii とほぼ同じボディを持ちながら、他に例を見ないこれほど個性的な頭部をもつ新種が発見されたことに、ただただ驚くばかり。
私の目には、この、「緩やかに弧を描く大顎」は、非常に魅力的に映る。
大顎の根本の突起は、深山ではおなじみのカタチだが、ゆる~くまあるく伸張するのは、無い!
歯状のぎざぎざエリアを先のほうに、比較的大きな巨歯を備えるが、決してエグくは見えないのはどうしてだろうか。顎先の二又が小さいからだろうか。
ともかく、歯と突起のバランスが、緩やかなのだ。
メアレーをゼロ地点と捉えるならば、同じくメアレー系の艶味をもつ種、ヴェムケンLucanus wemckeni がエグさの極致。ならば、このロンドはマイルド方向へと振れたカタチの具現化と言ってもいいのではないだろうか。
ロンド氏 Rondoに献名された学名だが、舞踏における“ロンド、つまりは輪舞曲”を想起させる「円運動」にあるかのような大顎。
じつにすばらしい種だ。