黒沢良彦
「伊豆諸島特産種ミクラミヤマクワガタの系統と分布」
『国立科博専報』 No.11, Dec, 1978, pp.141-153
Y. Kurosawa
“Phylogeny and Distribution of Lucanus gamunus Sawada et Y. Watanabe (Coleoptera, Lucanidae), Endemic to the Izu Islands, Central Japan. ”
National Science museum, No.11, Dec, 1978, pp.141-153
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パリーやラエトスを考えるとき、この黒澤先生の論文は基礎文献として重要。
中国にルーツを持つと思われるミクラミヤマクワガタが、なぜ日本の本土ではなく、伊豆諸島の小さな2 島だけにいるかということについても、中国から日本本土に入ったミクラミヤマクワガタの先祖が、八丈島近くにまで伸びていたであろう「古伊豆半島」を伝わって伊豆諸島に進入し、本土では外敵などによって滅びたが、隔離された孤島の一部でかろうじて生き延びた、という大胆な仮説が展開されたのも、本論文である。
むし社の藤田氏は、「現在と変わらぬ結論を出された黒澤氏の慧眼には驚くほかない。」と以下の論文で言及している。
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藤田 宏
「ミクラミヤマクワガタの研究史―54 年前に発見されたクワガタムシ―」
『Mikurensis みくらしまの科学』 Vol.3, 2014, pp. 35-64