おれ流~標本作製 ⑤ 生展足

さて、今回は「生」展足について書いていきたいと思います。

生展足の難しさは、その、ふにゃふにゃした関節の扱い にあるといっていいでしょう。すなわち、思い描く固定したいかたちに、なかなか定まらない!

では、はじめましょう。

〆た後、数日タッパーに密封し暗所に置いておいた個体を用います。

栃木のK氏よりお譲りいただいた、70mmUPのごんブトクン。フジ型強めの基本型です。

まずは、針を鞘羽にさくっと刺します。


そしたらば、腹部の足4本の根本を、例の短い虫ピンで固定します。



すると、生個体なればこそあらわれる現象が。

腹部が、鞘羽から下方へ、「はみ出して」くるのです!!!

生個体であれば必ずこのようになるので、針を用い、鞘羽下に、はみ出た腹部の「お肉」を押し込みます!


腹部をおさめたら、順次針を打っていきます。

ある程度固定できたらを用い、本体をプレート版から浮かないよう固定します。



ココからが難しいところで~

フセツの固定にはいります。

ふにゃふにゃのフセツほど、扱いにくいものはない!(lll´д`)フゥーー

最低でも、フセツ1に対し、針4本は要りますね。

また、〆た後すぐに展足しないのにはわけがあります。【爪の開き】を待つのです。

〆たばかりの個体はたいてい、爪は閉じています。

これが、死後数日経つと、筋肉の硬直が緩むと同時に乾燥して、開いてくるんです。

展足する場合、自分はこの爪が開くのを確認したら着手するようにしています。

 

さて、次は腹部と胸部の隙間を確保するために、針(志賀針2号)を打ちます。

2号以上では、隙間が大きすぎるかな~と感じていますが、それは各自の好みでいいのではないでしょうか。


針をうったら、次に頭部を起こしにかかります。

ミヤマの場合、張り出した頭冠があるおかげで、つまり頭冠が胸部につっかえるために、首の可動範囲が水平より上を向きにくいので、この点では楽だと感じますね。

腹部と胸部の間が針2本に十分に接触し、中心線がずれないように顎先から固定してゆきます。

そして、前足付け根⇒フセツ⇒触角というように、順に針をうってゆきます。

ココ”上半身”の固定では、もはや短い「虫ピン」の出番はありません。
志賀針を用います。

残るは、触角と口ひげの固定です。

ここに至ってはじめて、自分は長いパール針を用いて触角、および口ひげを、固定してゆきます。


以上で、ひとまず完了です。

さて、乾燥後、いくら縮むかな!?щ(゜ロ゜щ)

Author: jinlabo

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