雌雄型について

先の雌雄型について、貴重なサンプルなのでそれにまつわる顛末を記しておきたい。

その前に、ミヤマにおける雌雄型についてまとめておこう。
その基本的知識をえるためには、以下の文献を参照されたい。

林長閑
『日本の昆虫⑧ ミヤマクワガタ』
文一総合出版, 1987

本書の38~41ページに〔性モザイク〕に関する記述がある。
それによれば、1987年当時林氏の調べうる限りで知られていた「8個体」がリストアップされている。


それら標本の詳細については本書に譲るが、そのうちの2個体が、以下のように図示されている。


(表および図は、39ページより引用)

もちろん、林氏の著作から20数年経っているわけで、その間アマチュアの方々の手で少なからずの雌雄型個体が発見されて、話題となってきた。検索すれば、その片鱗をうかがい知ることができる。

さて、今回の貴重な個体を譲り受けることとなったきっかけはYオク。
某道の駅で、採集者であるCHIBA氏にお会いし、手渡しで譲っていただいた。
氏の管理が良く、非常に新鮮な状態を保っていた。
お初お目にかかった時の衝撃は計り知れず。。。鳥肌がたったあのソワソワした感じは忘れられない。


樹液採集で実際に採り上げたのは、同行していたお仲間のGOTO氏とのこと。
最初、喧嘩で顎が欠けた個体かと思ったという。

モザイク状にならず、完全に雌雄に分かれている。頭部は一見♂側が優勢のように見えるが、♀側に目を向けると、きちんと頭盾半ばで分かれている。まさに「ど真ん中」レベルの完全雌雄型。


♂側:49.66mm
♀側:37.57mm
交尾器はどうだろうか。

…♂側の器官が半分しかないのが目に付く。まさに半々。。。驚異。

『中華鍬甲』のように交尾器をばらして精密に顕微鏡写真をとっておきたい代物なのですが、設備を整える間もない現状では致し方なしということで。

まさに、自然の神秘。”深山”の恵み。
最後に、お約束。

日本アニメ界の神秘 「あしゅら男爵」!
(マジンガーZ, 26話より)

追記:
雌雄型というのは、そんなに調べたことは無かったが、おそらく奥が深いトピックであるようだ。

1557年、人間の雌雄型を描いた、リアルな記録である。
Hendricus Petri, Prodigiorum ac Ostentorum Chronicon, Basel, 1557
Science photo library より)

Author: jinlabo

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