Baba, 2004 ~ヨーロッパミヤマクワガタ大図鑑

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Baba, M.
“A note on synopsis of Lucanus cervus (Linnaeus, 1758) (Coleoptera, Lucanudae)”
BE-KUWA No.11, May. 2004
pp.10-27

馬場勝氏のヨーロッパミヤマクワガタ大図鑑が収録されている。

これは、馬場氏のコレクションを用いることで、ヴィジュアル的にも充実したLucanus cervusの類の、日本初の考察となった。

しかしながら、

欧州のミヤマに特化した超マニアックな内容なので、「ミヤマ特集」と聞いて、「世界の」ミヤマを期待していた巷の声はヨーロッパミヤマだけじゃん!」だった・・・笑

 

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さて、この馬場氏の図鑑に対して、自分の見解をのべてみたい。

この特集を概観したとき、馬場氏はさすが「大胆だな~」という印象をうけた。

 

例えば、

Lucanus ceruvusを、大きく「6亜種」に分け、整理したこと。

Lucanus cervusの分類することの難しい点が、まさにここにあると思う。

「記載文などの資料から、実物を推測し、種を当てはめる」といった作業の限界ともいえるかもしれない。

トルコあたりの小アジアの亜種になればなるほど、データは少なく、信憑性や根拠に欠ける。
分類学として、標本・採集データの確かな積み重ねが、こうした図鑑の信頼にもつながるわけなのだから。

 

では、具体的に。

● sp. cervusの触覚の数から、型(Form)を定め、ssp. trcicusとの分類を試みている。

氏が定めた型(form)に関して、私も同感だ。
しかしながら、trcicusという亜種の分類については、結論を出すにはもう少し・・・
私が知るところでは、ずんぐりしていて扁平な体型をもつ触覚6節のtrcicusと思われる個体群の中にも、5節や4節の触覚を持つものがいる。

「体型と触覚」のみを根拠に、「本物」trcicusって。もっと知りたい。すごく興味がある。。。

 

● ibericusの項で、orientarisとの違いが、「前胸腹板の形状や、毛の特徴」にあると書かれている。

しかし、「前胸腹板や、毛」が、どのように違うのか?そこって肝心なトコじゃない??
もう少し詳しく教えていただきたいっ!というのが率直な感想。
確かに、微毛や光沢に違いを見ることはできる。
しかし、前胸腹板の後ろが「尖る/尖らない」といった違いは、一部の種類においてのみ顕著で、むしろ、全体のフォルムや、触覚の片状部の「幅」に違いがうかがえると、私は思う。。。

 

他にも指摘点はあるが、
もっとも、このようにヨーロッパミヤマを「日本語」ベースで一通りまとめたという点で、馬場氏のこの図鑑の価値は大きいだろう。

Author: jinlabo

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