謹賀新年。
Happy New Year 2025!
昨年は、7月のビークワ夏号の国産ミヤマ特集、そして、イタリアのジリオリ先輩とともにラオス・ベトナムよりえられたコラールミヤマLucanus collardiを10月に新種記載できました。
どちらのタスクもあれこれ困難なストーリーがあるわけですが・・・
まあ話のネタw
いやしかし、ミレニアム世代のむしやの多彩な活躍には、正直、目を見張るものがあります。
時間関係無くワールドワイドに交流ができる今は、ほんと可能性無限大だ。
その分、イマドキなリスクも各方面で増えてるから気をつけてほしいけど、ま、すべては経験なんだけどね。
日本人にとっては困難な状況の円相場、
台湾を筆頭にアジア圏のむしやのめまぐるしい台頭もあって、
供給の水準、想像を超えるであろう期待値レベルが、ここ数年予測がつかない。
2025年はいったいどのような流れになるのかな。
今年もいいミヤマに出会えますよう!
皆様、本年も宜しくお願いします★
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さて、2024年のラスト12月31日付けで、ドイツのシェンク氏のBeetles World の最新刊が発刊されました。
その内容は、
- シェンク氏のラオスのミヤマクワガタまとめ&新種記載
- 中国のHuang氏らによる、『中華鍬甲2』についての修正註記と新種記載
- シェンク氏のマルバネクワガタの新種記載
と、なかなかけっこう濃い!
今回シェンク氏、次回はHuang氏らの論考をまとめていきたいと思います。
※掲載許可とってます。Thank you very much Frank!
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“Contribution to the knowledge of the Lucanus from Laos with description of Lucanus puchneri (Coleoptera, Lucanidae) ”
Klaus-Dirk Schenk
in Beetles World No. 26 December 31, 2024, pp. 3- 7.
【前半】
ラオスのミヤマクワガタについての簡単なまとめ。
現在まで、以下の種がラオスから得られている旨が記されている。
L. angusticornis angusticornis Didier, 1925 アングスティコルニス
L. formosus formosus Didier, 1925 フォルモサス
L. fujitai Katsura et Giang, 2002 フジタ
L. marazziorum Zilioli, 2012 マラッツイオルム
L. satoi Nagai et Tsukamoto, 2003 サトウ
L. sericeus ohbayashii Nagai, 2003 セリケウス亜種オオバヤシ
L. tsukamotoi Nagai, 2002 ツカモト
L. vitalisi Pouillaude, 1913 ヴィタリス
L. collardi Sato et all., 2024 コラール
そして、シェンク氏の手元にあるコラールの、2018年に得られていたラオス個体が図示される。
【後半】
これらがもたらされた中部地域から得られた、L. nobilisノビリスに近似の個体が新種として記載された。
Lucanus puchneri Schenk, 2024
ピュヒナーミヤマクワガタ
名前は、シェンク氏に標本をもたらしたオーストリアのAlfred Puchnerアルフレッド・ピュヒナー氏に献名。
ホロタイプは2019年の個体。パラタイプは、同データが3♂♂/8♀♀。2018年の3♂、となっている。
サパ、イエンバイの個体26♂♂2♀♀、及び雲南の個体6♂♂2♀♀を検し、
L. jeanvoinei ジャンボボワーヌ、L. speciosusスペキオサス、のホロタイプの画像(荒谷2001)と比較・検討し、
以下の点で違いがあることから、新種とした。
- よりスレンダー、より濃い微毛で覆われる
- 中ほどの大歯から根元に至るまで、9-11の小さな歯をもつ
- より大あごの尖端が大きく開き、下の歯はより下方を向く
- 頭冠はより丸く、より立ち上がる
- 腿節、脛節が橙褐色で、縁取りが黒色(ノビリスとジャンボワーヌは黒色)
最後に、隣接するベトナムのゲアン省でも見られるだろう、と記載した。
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【所感】
シェンク氏、コラール論文直後にレスポンス頂き、恐縮です!
コラールについては稿を改めますけど、
今回の新種も得られた地域ということで「ラオス中部~ベトナム・ゲアン省西部」は興味深い地域ですね。
そこで、キアシ・ノビリス、です。
えー
ノビリスが好きで好きで、毎年数多の亡骸を手にしている自分ですが、
「個体差」も多彩な種類であることは、ミヤマ好きなら周知の事実であるかと思います。
分類の基準を5点、シェンク氏は列挙しているですが、
個人的には、あげられた「体型と毛、歯、あご先開き、頭冠、脚の色」の特色は、個体差止まりの違いに思えます。
とりわけ、5番目の「脚の色」も、稀ですが、サパ産でも黄色脚はでます。
ただ、比率はごく稀。
(後日手持ち標本写真挿入予定)
このキアシの問題って、よく観てる人は分かると思う、他の種にも見られるようないわゆる「ミヤマの不思議」なのですよね。
地域によって、その傾向が強くなったりするやつ。
日本のミヤマでもみられますよね。
これは別に書くトピックかと思うので、またの機会に。
確認したい点① 交尾器!ゲニタリア!
確認したい点② 他のパラタイプ標本も同様に、みんな黄色なのか? ⇒比率は下がるけど、黒も混じると思っている。
確認したい点③ ラオスにおける分布域。「イエンバイ」で採れてる群から、連続するのか否か。 ⇒中国・ベトナムにおけるチベタヌスのケースと同じ。
興味深い地域であることはまちがいないので、
私としても引き続き、調査を継続したいと思います!