20211221追記:
著者阿達氏より、コロナの影響で、収蔵先の筑波へは未だ収めていない、との旨のご連絡がありました。
タケオミヤマのホロタイプは、ひとまず、2022年4月より一般公開予定の私設博物館に収蔵しているとのことです。
阿達氏のHPは以下です。
やはり郵送は難しいですものね。自分もむし社への往復大変でしたw
ちなみに、今年も採れたようですよ。高いこと言うから流しましたけど。本種には縁が無いな~w
見たところ、歯形にかなりのヴァリエーションがある模様です。
どこか「台湾」の相に似てる気がしますね。
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確認が遅くなりました!
コガネ研が発行する会誌『KOGANE』の最新号No. 23(2020年8月31日発行)において、中国は四川省から得られたミヤマクワガタが記載されておりますので、ここに紹介です。
Lucanus takeoi sp. nov. タケオミヤマ
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Naoki Adachi,
“A new species of the genus Lucanus from Szechuan province, southwest China.”
阿達 直樹
「中国四川省からのミヤマクワガタ属の1新種」
in KOGANE, No. 23, Aug, 31, 2020, pp. 8- 10
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時は2017年9月、中国の標本商ディーラーを通して、ebayで販売された個体がありました。
そのとき私はグラディウスの記載に動いていたため、関心をもって本個体を購入しようとは思わなかったんですね。
そのときの画像を~
(一部加工・修正しております)
私自身の観点は、下のような感じで。
一見して新種!と分かる個体ではあっても、「一個体であること」、「中国の種であること」、の2点で見送った、というのが正直なところでした。
一個体であると、それそのものがホロタイプになりそれを公的機関へ収める義務がありますので、手元になにも残らないですからね。
また、Huangら中国の研究者が活発に動いているので、あまり手出しはしないほうがいいよな~と、個人的な配慮がありました。
そんなこんなでこの個体はいつしか売れたのですが、再度、われわれの目の前に現れたのです。
あれはたしか、むしオークション、でした。
ご覧になった方も多かったのではないかな。
ちょうど大手町フェアの時に、話題になったことを記憶してます。
その個体が、実は2020年の8月発行の国内の記載誌、『KOGANE』において、記載されておりました。
「一見して新種として分かる」として、かつ1個体のみで記載へ踏み切ったことに、乾杯です!
「一見して新種として分かる」とした記載はシェンクが記載したヴェムケンぐらい(けっこう1個体かもw)ですが、あれは複数個体あったような・・・。
査読を経た際にやはり比較は要求されたと見え、比較表が付され、ルディヴィナ、クリイロ、ファンジン、ラサとの差異が記されています。
ひるがえって言うならば、
査読付でもこのような記載が可能であることを、この『KOGANE』の本号がしめしてくれているわけです。
一個体でも顕著な特徴を有する個体を記載するときは、『KOGANE』に投稿していきましょう!
いやはや、心強いですね!!
コガネ研、退会してしまいましたが、また入ろうかなw
ホロタイプHolotypeは、
筑波にある国立科学博物館の自然指標本棟、動物研究部 Department of zoology, Nathional museum of Nature and Science@Tsukubaに収蔵予定。
名前の「タケオ」は、筆者の父上の名前にちなむとのこと。
Jinlabo様
こんにちは。
初めてコメントさせて頂くAsaと申します。的確かつ詳細なLucanusの考察、何時も参考にさせて頂いております。Jinlabo様にお一つお聞きしたい点があります。昨年度、Dr.SchenkがBeetles Worldにて記載したL.jonnaeとL.davidis ssp.guizhouensisについてですが、Jinlabo様は所見を抱きますでしょうか。自分はLucanusの知識に乏しいので、長年Lucanusに興じられているJinlabo様の形態的な考察や記載についてのご意見をお聞きしたいです。
お忙しい中かと思いますが、宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます^^
ご指摘の「エオルカヌス属」の種・亜種に関してはさらっと書けない感じですので、あらためて紹介したいと考えていたトピックでした!
ここら辺は自分の関心が他より弱め(爆)というところもあって、後手後手になっております。
おいおい取り上げて参りますので、宜しくお願いします!
jinlabo様
初めまして、L.takeoiの記載者の阿達でございます。一個体、メスは未知、中国産での記載については私もかなり悩みましたが近縁種が見当たらない、ハイブリッドの可能性もなさそう、何かの小型個体とも考えられないということで記載に踏み切りました。今期別個体が採集された方がおり(中国人)、画像がアップされておりました。コガネムシ研究会の首脳陣からはカブトムシ屋久島・種子島亜種の記載の時点で煙たがられていると思いますが、L. takeoiの記載についても結局は最後まで査読者様に丁寧にご指導いただきました。1つ訂正なのですが、タイプ標本はコロナの影響でいまだに自宅に保管している状態です。野村先生より郵送は控えてほしいということで持参する機会がなく、結局自宅で博物館を4月より正式に開館する予定でそのまま私の博物館で展示する予定でおります。