リモートなあれこれに振り回され、ようやく日常のペースがつかめてきたかな~というこの頃。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
もう5月も終わろうとしておりますが。。。
今日は、4月30日に発刊されたBWの21号から、トルコにおける新種を取り上げたいと思います!
実は、21号冒頭には、おなじみHuang&Chenによって中国からのNEWが記載されていたりします。
いやはや。
ビークワのミヤマ特集にぜひ盛り込みたかった!というのが正直なところ。
まあ、校了間際ならともかく、発売後であったし、コロナ禍だったし、これはしようがないですね。
「ミヤマ特集直後に、2新種出た!!」というところで、印象づけて参りましょうか。
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“Notes about the Lucanidae fauna of Turkey with description of Lucanus (Puseudolucanus) firdleri (Cpleoptera, Lucanidae). “
「フィードラーミヤマクワガタの記載とトルコのクワガタムシのファウナに関する記録」
K-D Schenk & Frank Fiedler
in Beetles World, 21, Apr. 30. 2020, pp. 26-36.
[p. 27]
これです。
Lucanus fiedleri Schenk&Fiedler, 2020
フィードラーミヤマクワガタ
いやはやShenck氏。共著者であるFrankの姓を、新種名として乗っけてきましたね。
詳しくは論文を見ていただくとして、分布域は、近年ブシグニーがもたらされているエリア。
ブシグニーとともに、ラティコルニス、アクベシアヌスが混生しているトルコの西側沿岸地域です。
Puseudolucanusと括弧をつけていますが、確かに、なんか微妙な感じ。
顎先が二股に分かれない点は、この種の大きな特徴といえるでしょう。
[p. 30]
もし、一個体しかいなければ、「スマートなブシグニー」と思ってしまいますね。
ゲニ(交尾器)の観察はスルーされておりますが、形態比較を普通よりは詳細に手がけてる点で、一応の説得力はあります。
左から、
新種、ブシグニー、ラティコルニス、の順。
[p. 31]
触覚片状部は、6節。
他種に比べて新種は、片状部の「幅」がちと狭いかな、というところ。
うーむ。
「スマートなブシグニー」ってのは、案外、的外れでないように思えます。
ブシグニーに、同所的に分布しているラティコルニスの風味がプラスされたというような、ラティコルニスの影響が大きく出たPuseudolucanus種のように、個人的に感じます。
分布はだいぶ局所的なもよう。
なんだろう、ブシグニーとラティコルニスの交雑の末、固定化した個体群?
イタリア中部におけるケルウスとテトラオドンの場合のような感じ?
あ、これ、初見から直感的に感じたレベルの所感です。
なんら根拠はありませんのであしからず。
たしかに、手元には、ラティコルニスでもないし、ブシグニーでもない微妙な♀があったりします。
なんだろうな~個体差かな~と、けっこう真剣に気になって、早何年。ブシグニーにはじつは2種いるのでは?とか、本気で思ってたんですよね。
その?な♀は、この新種の♀なのかなもしれないですな。(しっかり見てないけれども)
いずれにしても、ビークワ特集での経験からも「♀の顔」ってミヤマの分類上、結構大事な観点だと感じますね。
トルコの種分布について後半言及されているけれども、マクロフィルスや、イベリクスなど、こういった小型種(アクベスやユダイクスに比べて!)は、まだまだ奥が深い。
いやはや、「沼」だな。
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