ヨーロッパミヤマのなかでイタリアに産する小型種として知られている、テトラオドンミヤマ sp. tetraodon.
本種には、いくらかの亜種が数えられているが、その中でもイタリアから離れたフランスの南沿岸、いわゆるプロヴァンス地方に産する個体群は、亜種ssp. provincialis と名前がつけられています。
南仏!
虫屋ならば、ファーブルゆかりの地としても有名ですね~。
地中海に抱かれた温暖な気候、ブドウやオリーブ、ラベンダー畑が広がる、美しい景観を思い浮かべる人も多いでしょう。
(image: ID 118646479 © Rochu2008 Dreamstime.com)
そのような地に生息し、テトラオドンの「亜種」として認められてきた個体群がいるわけですね。
コレです。
ビークワに図示した個体とは違って未展足の標本ですが、特徴が出た大型の個体です。
じっくり見ると、いや、じっくり見ても、
実は、イタリアのテトラオドンと、外形的に明確な差異がそれほどないことが分かってきます・・・。
イタリアの北部には産していない(と思われてきたが近年生息地が確認された!)ことから、いわば分布域が飛び地でいることから亜種としてされてはいますが~実際のところ、あやしいんですね。
近年の遺伝子分析から、
たとえば、型、あるいは亜種として「ファビアーニ fabiani」の名で知られていた集団が、明確に別種だと判明する成果がありました。(コレについてはまた稿を改めて書きます。)
一方で、テトラオドンに関しては、そのような明確な結果は出ていないのです。
今回の特集では、慣例にならって亜種としていますが、実のところ微妙な位置づけになります。
図示したイタリアの原名個体は、とりわけ太い個体を選んでおり、フランス個体との差異を示そうと試みてはいるのですが・・・、
みなさまはいかが思われますでしょうか。
1ページにずらっと個体を並べたら、「百聞は一見にしかず」で、見えるものもあるかもしれないのですけれども。
いずれにしても、欧州種に関しては、古くから知られてはいますが、
実は整理・分析の余地は大いに残されている、
そう感じますね。
あ~欧州行きたい・・・涙
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