Huang. H.,
New description and notes on Chinese stag-beetles, with discovery of the second species of Noseolucanus from SE Tibet.(Coleptera, Lucanidae)
in Coleoptera 10(2006) : pp.11-34
今では3巻目がでた『中華鍬甲』で著名なHuang氏の、2006年時の意欲的な論文。
2010年より出されている『中華鍬甲』という研究書シリーズへとつながっていく意味で重要な論文だ。
ここで、新たに3種が新種記載された。
そのなかでも、目玉は
◆ “第二のゲンシミヤマ”こと、Noseolucanus zhengi
ミャンマーに産するNoseoludanus denticulus ゲンシミヤマに近しい種として、現在でもなかなか出回らないレア種として君臨している。
地上歩行性の本種は、生息エリアも限定されるので、今後チベットの環境開発の影響を受けないか心配なところだ。
まあ、人が踏み入ることのできない彼らの楽園もあるだろうし、こんな心配も杞憂に過ぎなければいいのだが。
ほかの2新種は、以下の2つ。
◆ Lucanus (Pseudolucanus) mingyiae
◆ Lucanus (Pseudolucanus) pani
ダヴィドやレスネと同じく、脚の長い、見た目がヒメオオ系の種だ。
さて、学名の表記でわかるように、いずれの種名も、著者の近しい友人に献名されている。
sp. mingyiae は、女性献名だが、実際、著者の恋人のようだ。
それはさておき、ここでも、日本語呼び名が問題となる。
ここまで、カタカナで表記していないのはそのためだ・・・。
中国語読みにするならば~
Zheng-i「ヂァン-i」, Ming-Yi-ae「ミン-イ-ae」, Pan-i「パン-i」
⇒よって、「ヂァニ」、「ミンイアエ」、「パニ」、となるわけだが・・・
さて、どうしようか?笑
ゼン ゲンシミヤマ ⇒(ヂャニのほういいのかな~“第二のゲンシ”で別にいいけど笑)
ミンギアエ ミヤマ
パニ ミヤマ、と我々は、あまり深く考えずに、呼んではいるけれども・・・・・
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また、本論文の残り半分では、
シノニム整理もなされ、中国のミヤマクワガタの学名リストが掲載されている。
しかし、本論文は2006年時点のもの。
いまや『中華鍬甲』でHuang氏自身の認識もアップデートされている。
なので、過去のものはあえて掘り返さないでおこうと思う。
順序だてて書かないと、混乱するのでね。
ひとつ例をあげるならば、
Huang氏自身によって『中華鍬甲』(2010)でシセンミヤマのシノニムにされたヒルデガルドsp. hildegardae Zilioli, 2002.
この論文では、まだ有効で、リストに名を連ねていたりする。
その後の顛末については以下の記事を参照。