Lucanus deuveianus Boucher, 1998
デューヴェイアヌスミヤマクワガタ
: type♂: China, Guangxi, DamingShan, 1200m
⇒Krajcik, 2001: p.77; Araya, 2001: p.14, f.29-30; Krajcik, 2003: p.102,
Fujita, 2010: p.100, Pl.43, Huang&Chen, 2017, pp. 16-17.
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Mt. Damingshan,
Woming, Guangxi, CHINA
VII-2010
74mm
広西壮族自治区の大明山に産する、デューヴェイアヌス。
にて、初めて図示紹介された種。
クワガタの知見に多大なる影響を与える藤田氏の大図鑑(2010)では、残念なことに小型個体1体が図示されるのみ。
結果、一般に知名度は無いと言っても過言ではなく、一部のマニアの間で知られているに過ぎない。
けれども、じつは、なかなかいい面構えをしたカッコイイ種である。
さて、このデューヴェイアヌスは、福建省に産するブリヴィオミヤマ L. brivioiに近い種と考えられる。
参考までに、以下に以前の記事のリンクをあげておく。
新刊の『中華鍬甲・参』(2017)の 16-17ページにおいても、言及されている。そこでは、ブリヴィオとの外形的に見た違いとして、以下の二点が指摘されている。
①顎先の二股の歯先が長いか短い(ブリヴィオ)か
②頭部の張り出しが横に突出する(ブリヴィオ)か、なだらかに突出するか
顎先はあまり注目に値しないが、ミヤマ特有の「頭部の張り出しのかたち」で見分けるのは、確かに重要なポイントである。
ただ、私見では、上記の2点に加えてさらなる見所があるので、読者のみなさまの参考までに記しておきたいと思う。
●デューヴェイアヌスは、より前脚のケイ節の棘が、ノコギリ状になる傾向が強い。
●質感がブリヴィオのほうがマット(つや消し)に見える。
●体長アベレージがデューヴェイアヌスのほうが圧倒的に大きい。(MAXは70㎜後半クラスと予想される)
●大アゴ半ばの巨歯が、ブリヴィオの場合は気持ち内側を向いて伸長するが、デューヴェイアヌスは、中型個体でも鋭く上方に反り返って伸びる。
たとえば、【反り返るカタチ】を見せる顕著な個体を図示しておこう。
67mm
大アゴの鋭さは、Lucanusのなかでもトップクラスといっていいだろう。
また、彼らには、ミヤマ特有の微毛がほとんど見られない!といった特徴もある。
微毛がそこそこ多いクラーツらとは、外見こそ似てはいるけども、おそらく違う系統なんだろうな~と感じさせるのは、毛のないボディによるところが大きい。
繊細なつくり、
イエローでスレンダーな美脚、
欧州のミヤマのような、ソリッドなレッドのボディ。
なかなかセールスポイントが多い、美形ミヤマなんです。
あ、ちなみに、ドイツのシェンク氏が2009年に記載したらしい<ブリヴィオミヤマ・広西亜種>L. burivioi ssp. guangxiiっていう種類は、このデューヴェイアヌスと同種、つまりシノニム(同名)です。
そのパラタイプ持ってるんですけど~
シノニムのパラタイプって、意味あるのだろうか?笑