クラーツミヤマ 小話

クラーツの原名亜種については、一般に良く知られていない。

雲南省

基産地が「雲南」ということ。

外国人にとって、神秘の雲南省。笑

Didier 1952の[Planche XVII]には、記載者Nagelによるデータと、氏のコレクションの長歯個体の挿絵が掲載されている。

データは、「Sseu Tsong, 2000m, 2-11-1927

葛さんと、ミヤマ話になるときまって、クラーツの基産地の話になったことが思い出される。

ベトナムはカオバンに産するssp. giangaeを記載した葛さんであるから、クラーツの話は大いに盛り上がったものだった。

ちなみに、月刊むしの巻頭「今月のむし」で、葛さんはクラーツミヤマで書いている。

月刊 むし 2008年 08月号 むし社

 

この基産地「Sse-Tsong」なる場所は、 中華鍬甲Ⅰにおいてついに、雲南省北部の「Shizong」と明示された。(p. 84)

Shizong,雲南省

いずれにしても、生息域は、雲南省北部から四川省南部、貴州省、そして少々飛んで福建省、と確認されている。

福建省まで、湖南~江西、南側は広西自治区~広東とあるわけで、ここら辺にスポット的に生息域があるのかどうかはよく分かっていない。(もっとも中国南部のこの辺はほとんどわかっていない地域で楽しみなエリアでもある)

ここで肝心の形態の話にうつるのだけれども、
Didierの挿絵のような、大アゴに張り出し、かつ、うねり、そしてアゴ先の内への湾曲がある個体は、はっきり言って、レア中のレア、稀の極致だということを、ここで強調しておきたい。

ある意味、挿絵のような個体がいるならば、それは「異常形」といってもいい、と思う。

頭部の大きさ、そして体のバランスの比例がそれっぽいのを並べてみよう。

70クラスの大歯でこれ以上のかっこよさを求めるのは、かな~り贅沢なことだと断言します。
大きくなると、以下のように緩やかでスムーズな湾曲ラインがすらっと出てくる傾向も高くなる。
こうなると、挿絵のイメージから、さらに遠ざかってしまう。

大アゴを大きく開いて固めたら、まあ、それっぽくなるかなとも思わないでもない。
挿絵特有の誇張が、あるのではないだろうか。

でも実際は、だれも、分からない。

基産地の大型個体は、みな挿絵のようなのかも知れないし!…?

兎にも角にも、個体変異の追求の果てには、こうした古い記載に見られる「?」の解明みたいなものも、少なからずあるわけで。

クラーツというミヤマは、古くから知られているにもかかわらず、未だ古きよき時代のロマンに溢れている種。

僕はそうとらえている。

Author: jinlabo

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