さて、今回は「生」展足について書いていきたいと思います。
生展足の難しさは、その、ふにゃふにゃした関節の扱い にあるといっていいでしょう。すなわち、思い描く固定したいかたちに、なかなか定まらない!
では、はじめましょう。
〆た後、数日タッパーに密封し暗所に置いておいた個体を用います。
栃木のK氏よりお譲りいただいた、70mmUPのごんブトクン。フジ型強めの基本型です。
まずは、針を鞘羽にさくっと刺します。
そしたらば、腹部の足4本の根本を、例の短い虫ピンで固定します。
すると、生個体なればこそあらわれる現象が。
腹部が、鞘羽から下方へ、「はみ出して」くるのです!!!
生個体であれば必ずこのようになるので、針を用い、鞘羽下に、はみ出た腹部の「お肉」を押し込みます!
腹部をおさめたら、順次針を打っていきます。
ある程度固定できたら、糸を用い、本体をプレート版から浮かないよう固定します。
ココからが難しいところで~
フセツの固定にはいります。
ふにゃふにゃのフセツほど、扱いにくいものはない!(lll´д`)フゥーー
最低でも、フセツ1に対し、針4本は要りますね。
また、〆た後すぐに展足しないのにはわけがあります。【爪の開き】を待つのです。
〆たばかりの個体はたいてい、爪は閉じています。
これが、死後数日経つと、筋肉の硬直が緩むと同時に乾燥して、開いてくるんです。
展足する場合、自分はこの爪が開くのを確認したら着手するようにしています。
さて、次は腹部と胸部の隙間を確保するために、針(志賀針2号)を打ちます。
2号以上では、隙間が大きすぎるかな~と感じていますが、それは各自の好みでいいのではないでしょうか。
針をうったら、次に頭部を起こしにかかります。
ミヤマの場合、張り出した頭冠があるおかげで、つまり頭冠が胸部につっかえるために、首の可動範囲が水平より上を向きにくいので、この点では楽だと感じますね。
腹部と胸部の間が針2本に十分に接触し、中心線がずれないように顎先から固定してゆきます。
そして、前足付け根⇒フセツ⇒触角というように、順に針をうってゆきます。
ココ”上半身”の固定では、もはや短い「虫ピン」の出番はありません。
志賀針を用います。
残るは、触角と口ひげの固定です。
ここに至ってはじめて、自分は長いパール針を用いて触角、および口ひげを、固定してゆきます。
以上で、ひとまず完了です。
さて、乾燥後、いくら縮むかな!?щ(゜ロ゜щ)