急に思い立ち、自分なりの標本作製の過程を解説していきたい。
深山鍬形Lucanus (以下ミヤマ)ばかりを扱ってきた経験で独自に習得(?)した自己流の、いわば【ミヤマ専門の標本作製】を基本路線とするが、標本作製に興味ある方の何らかの役に立てば幸いである。
ちなみに【クワガタ全般に関する情報】は、以下を参照した。
今回は道具を紹介する。
標本を作る際に用いる必要なものをあげておきたい。
まずは、標本に付き物の「針」だ。
標本針
虫に刺す針である。展足にも用いる。図中上、ステンレス製のシガ有頭針を使うのが一般的だ。
私は主に1、2、3号を使用する。(00号が最も細く、0号→6号と順に太くなる)。
それから、海外製の標本針もある。シガ有頭針に比べて固く、甲虫の背中に刺すとき、さくっと容易に刺せる。黒い針身に金のヘッドが高級感を与える。
文房具のピン
大概の文房具売り場の画鋲コーナーに置いてある、ピン。私は展足時、胴などの基本軸がぶれないように数本使用。パールピン(裁縫の留針)でも良いが、そのヘッドの丸い部分で空間がつぶされてしまい、針を打つのにいまいち使いづらい。
文房具ピンは短いので、長い標本針の邪魔にならずに展足が可能だ。
そして標本を仮止めし、形を整えるための台。
プレート板
東急ハンズや世界堂などの、大型の画材・文具店で入手可能。
「スチレンボード」、「カラーボード」などと呼ばれるモノ。
画用紙サイズで、厚さはさまざまおいてある。
私は、7mmのものを愛用している。
5mmでは展足には薄く感じる。
これを適当な大きさに切り、展足板として使用する。
「コルク板」や「発泡スチロール」を加工して用いたり、もちろん専用の「展足板」なる道具もあるが、針の刺し具合や固定感は、表面に紙の張ってあるこのプレート板にはかなわない(と個人的に思っている)。
そして、最低限必要なツール。
ピンセット
軟化、展足、修理用に用いる。なんでも用の普通に使えるもの一つで足りるが、微細な作業用の細いものがあればよりいい。ともかく、力の加減がうまくコントロールできるものがいい。
高価だからといって、使い勝手が良いとは限らないので、手に持ってみてから購入するべきだと思う。
木工ボンド(速乾)
外れた頭部、胴部を接着するのに用いる。以上。
瞬間接着剤(アロンアルファ・ゼリー)
脚、符節、触覚、爪などの細部の修理に用いる。微細な修理に用いるので、ある程度の技術を要する。乾燥すると接着面周辺がまま白くなることもよく把握して、注意して用いる。
筆・歯ブラシ
お湯に漬けたときに、土、綿などの標本に付いた汚れを落とすときに筆を使用する。
歯ブラシは乾燥後の標本の磨きに。使い古しで構わないが、極細でなければだめだ。普通の太さでは力が強くかかってしまい標本を破損しかねない。
「デンターシステマ(極細)」がいい。
(20180907追記)以上の道具をそろえて、標本の作製にかかる。
つづく。